GenelecSmart IPが実現するエレガントな「おもてなし」

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44304420は、今年の春に日本での発売を迎えたばかりのSmart IP設備スピーカーです。このたび駐日フィンランド大使館がゲスト・スペースをはじめとした一部施設をリノベーションする機会を迎え、全11基のSmart IP設備スピーカーを導入しました。

このリノベーション・プロジェクトの責任者であり、Genelec Smart IPプラットフォームの導入を決めた駐日フィンランド大使館 副領事 三等書記官のミッケ・キンナリ氏は、「世界中のフィンランド大使館の中で最も早く、自国を代表する企業であるGenelecのSamrt IPテクノロジーを施設に導入できたことをとても誇らしく思います。またその成果もとても満足のいくものでした」と話します。

駐日フィンランド大使館 副領事 三等書記官/ミッケ・キンナリ氏

東京・麻布にある駐日フィンランド大使館は、建物が築40年を迎えたことから、順次手を着けられる箇所からリノベーションを進めてきました。これまでに数え切れないほどたくさんの来賓をもてなしてきた応接エリアもそのひとつです。2019年には天皇陛下の即位礼正殿の儀に参列するために来日したサウリ・ニーニスト大統領とイェンニ・ハウキオ大統領夫人も、この場所でスピーチを行ったそうです。

「ゲスト・スペースのリノベーションは、以前から入念に計画してきました。今年はいよいよ機が熟したことから、これを実現する運びとなりました。Made in Finlandのエレガントな家具と、Genelecの最先端テクノロジーが生んだ素晴らしいサウンドにより、お客様を手厚く迎える部屋にしたいと考えました」

Genelecは、フィンランドの人々にとって国民的なオーディオブランドです。キンナリ氏自身も子どもの頃から、家族と一緒にGenelecのスピーカーで音楽を聴きながら育ってきたと振り返ります。現職に就いてからは海外赴任の機会が増えたことから、どこにいても愛着のあるGenelecのサウンドを楽しめるよう、コンパクトで持ち運びにも優れるスタジオモニターの8010を愛用しています。

大使館ゲスト・ルームのリノベーションを進めるにあたって、音響設備はGenelec以外にも複数のメーカーと施工業者からの提案を集めて、繰り返し公平に検討を重ねてきたそうです。その結果「私たちの要望に対して誠実に最適なソリューションを提案してくれた」という理由から、GenelecのSmart IPプラットフォームによる設備設計を、音響・映像システムの施工のスペシャリストであるアストロサーブ株式会社に依頼しました。

フィンランド大使館のダイニング・ルームにインストールされたSmart IPスピーカー

GenelecSmart IP

今回、GenelecのSmart IPプラットフォームは、駐日フィンランド大使館内の迎賓館の複数スペースに設置されました。エントランスとゲスト・ルーム、会議室とダイニング・ルームの計4箇所に、合わせて11基のスピーカーがインストールされています。PoE(Power-over-Ethernet)給電ができるDante対応ネットワーク・スイッチやコンテンツ再生機器は、ゲストルームの景観を損なわぬよう木製のラックに収納する形で置いてあります。

スピーカーシステムはSmart IPファミリーの4430が9基と、これよりひとまわりサイズの小さな4420を2基。それぞれの持ち場で最適な音響効果が得られるよう、ルームイコライゼーションはGenelecのSmart IP Managerにより入念に設置環境とサウンドを合わせ込んでいます。

フィンランド大使館の建物は災害にも耐える十分な強度を確保するために、構造体を厚いコンクリートの壁としています。「築40年を超える建造物のそこかしこにケーブルを通す穴を空けることは現実的に困難だったため、ケーブルの数はできる限り減らしながらシステムを設置してもらいたいと要望を伝えました。私たちの期待に最も最適なソリューションを示してくれたシステムがGenelecのSmart IPだったのです」とキンナリ氏は採用を決めた理由を語ります。

LANケーブル一本で音声と電源を供給できる

サウンドの満足度を聞くと、キンナリ氏は次のように答えてくれました。

「ゲスト・ルームにはコンクリートの壁だけでなく、大きなガラス窓が沢山あります。部屋の特性に合わせてサウンドを丁寧に最適化していただいたので、まるでアーティストの生演奏と向かい合って聴いているように感じてしまうほどのリアリティにとても驚いています。」

実体感の豊かな音が聴けることは、音楽リスニングに限らずテレカンファレンスにも活きてくるそうです。「まるで会話相手と相対しながら議論しているように感じるほどクリアな声」にとても驚いているとキンナリ氏は満足そうに笑みを浮かべます。

エレクトロニクス機器の操作に不慣れな大使館職員の方々もそれぞれの機器を簡単に使いこなせるように、ゲスト・ルームにはCRESTRONのタッチパネル・コントローラーが用意されています。スマートフォンをつないで端末に保存した音楽を鳴らしたり、PCの画面をスクリーンに映しながら手軽にプレゼンテーションができることも好評を博しているそうです。

そして何より部屋のインテリアに調和するスピーカーのデザインに満足しているのだと、キンナリ氏は目を細めながら白い壁面に掛かる白い4430/4420を見つめます。

会議室にインストールされた4420

温かみあふれるフィンランド製のインテリアと、フィンランドの画家が描いた壁面の絵画と相まって、Genelecのスピーカーサウンドが室内にエレガントな雰囲気を漂わせます。

「床にケーブルがはい回ることもないので、見た目に美しいだけでなく部屋のスペースを有効に使うことができます。部屋にさりげなく溶け込んでくれるSmart IPプラットフォームを選んで本当に良かったと思います」

フィンランドでもやはり世界各国と同様に、エコフレンドリーなライフスタイルに関心が集まっているそうです。未来の世代につなぐ持続可能な社会と生活環境に貢献するため、リサイクル素材の活用、および環境に優しいソーラーエネルギーを生産設備へ積極的に採り入れているGenelecのものづくりの姿勢は手本として仰ぐべきものであるとキンナリ氏は強調します。

Genelecのエコフレンドリーな先進技術の一例である、Smart IPプラットフォームも採用する「ダイナミック・パワー・テクノロジー」にもキンナリ氏は注目しています。低音域で生じるエネルギー消費ピークのバランスを改善することで、Smart IPに対応するスピーカーの連続運用時に消費電力をセーブする技術です。

クリアで力強いサウンドをバランス良く、安定して鳴らせるGenelecの最先端技術によるサウンドに、長年Genelecの音に馴染んできたキンナリ氏も驚いたと振り返っています。

ゲスト・ルームの音響システムを選ぶ際には、ペッカ・オルパナ駐日フィンランド大使も「長く使い続けられるシステムを導入したい」と声を上げたそうです。

ペッカ・オルパナ駐日フィンランド大使

「私はGenelecのSmart IPプラットフォームが、良い音を長く楽しむためのスピーカー・マネジメント機能を備えていたところにも興味を持ちました。もしもまた次に大がかりなリノベーションを行うべき時が来たとしても、新しい環境にスピーカーを置いて、その場に最適なセッティングが素速くできるところに魅力を感じます」

オルパナ駐日フィンランド大使は、フィンランドの美学を象徴するようなミニマリスティックなスピーカーのデザインにも惹かれているのだと、思いを語っています。

「フィンランドの著名デザイナーであるハッリ・コスキネン氏の手による優美で自然なスピーカーのたたずまいは、改修を終えたそれぞれの部屋に気持ちよく馴染んでいます」

多くの国賓を迎え入れるゲスト・ルーム

キンナリ氏は「COVID-19の感染拡大を防ぐために注意深く過ごさなければならない日々が続いていますが、またこの場所にお客様を招いて、Genelecのスピーカーによる素敵なサウンドと共に皆様をおもてなしできる機会が楽しみです」と期待を膨らませています。

インストーラー | アストロサーブ株式会社
www.astroserve.jp
インタビュー&テキスト | 山本 敦
撮影 | 小野広幸