Smart IP

ヘルシンキのオリンピック・スタジアムにある「フィンランド・スポーツ博物館」は、5年間にも渡る大規模な改修工事を経て常設展示を一新、一般公開が再開されました。新たな展示スペースでは、GenelecのSmart IPオーディオ・ソリューションをはじめとする最新のテクノロジーを採用してフィンランドのスポーツを紹介しています。すべての音響、映像、制御技術を担当したのは、AVインテグレーションのスペシャリストであるStudiotec Oy。そしてAVと音響デザインは、ビル・サービス・エンジニアリングのエキスパートとして実績のあるGranlund Oyが担当しました。

Granlund OyのAki Päivärinne氏は、今回のフィンランド・スポーツ博物館での狙いについて次のように語ります。

「お客様をアクションの真ん中において、まるでその場にいるような体感をしていただく。これが私達の目指したことです。どんなスポーツでも体験にあたって、サウンドは極めて重要な部分を占めています。(この博物館では)時折、さまざまなスポーツのサウンドに加え、この展示のために特別に作曲された音楽やユーザー・エクスペリエンスの音が加わるようになっています。サウンド・デザインは、オブジェクト・ベースのツールを使って実現しています」

Smart IP

Päivärinne氏が音響デザインのほとんどにSmart IPシリーズを指定したのは、品質に加えて導入のしやすさという観点での基準をすべて満たしていたからだと話します。「アナログ接続のようにケーブルを気にする必要がなく、かつすべてが既存のネットワーク上に収まっているので、システムの設計と設置が非常にシンプルになりました」

StudiotecのプロジェクトマネージャーであるPauli Lamsijärvi氏も同じ意見です。

「Smart IPスピーカーは、(この博物館での)オーディオ・ソリューションにおける最も重要な要素であり、設置作業を容易にしてくれました」

Lamsijärvi氏は次のように続けます。

「音声信号と制御信号の両方を伝送できるDanteネットワーク上で動作するSmart IPは、オーディオの世界において革命的なものなんです。さらに、PoEでスピーカーへ電力を供給することもできます。その音質も、私たちがGenelecで慣れ親しんできたクオリティ、つまりワールド・クラスのもので、その結果にとても満足しています」

注目の展示のひとつは、フィンランドの歴代スポーツ・ヒーローです。フィンランドのビジュアル・アーティストJanne Ahola氏による巨大なビデオプロジェクションと、Genelec 4430を使用した10チャンネルのイマーシブ・サウンドを組み合わせて、スクリーン上で起こっていることに相対する空間にサウンド・オブジェクトを配置。アクションに命が吹き込まれたかのような完全な没入感を、来場者の皆様は味わうことができます。

また、ウィンター・スポーツをテーマにした展示もあります。

「ウィンター・スポーツは私たちフィンランド人にとって重要なものなので、この分野でも可能な限りリアルな体験を提供したいと考えました」とPäivärinne氏。「この展示では、8台の4430 Smart IPスピーカーをダイヤモンド型に配置したマルチ・チャンネル・サウンド・システムと、98インチのLEDスクリーンに映し出されるショートムービーが連動しています。来場者の皆様は、子供たちが雪遊びをしたり、凍った湖でスケートをしたり、あるいは湖で泳いだりしている中に見を置くことになります。また、このウィンター・スポーツのコーナーでは、スキーヤーやスノーボーダーと一緒にゲレンデへ出ることができます。1965年に作られた本物のダブルチェアリフトもあり、背後には巨大なスクリーンが設置されていて、さらにゲレンデにいるような印象を強めています。このゲレンデの展示では、4台の4430を使用しました」

Smart IPソリューションはウォーター・スポーツの展示でも採用され、ここでは4台の4430を使用した4チャンネルのイマーシブ・サウンド・システムで命が吹き込まれています。波の下でスキューバ・ダイビングをしたり、波の上でセーリングをしたり、カヌーに乗せられて急流を漕いだりと、来場者はスリル満点の体験ができます。

ステレオでのサウンドが要求される場所では、メディア・プレイヤーがスピーカーの近くに配置されることから、Päivärinne氏は80108030を選択しました。一方のイマーシブでのマルチ・チャンネル・サウンド・デザインを採用した大規模なインスタレーションでは、すべてDante信号を出力できる専用のメディアサーバーとGenelecのSmart IP設備スピーカーを使用しています。

館内のすべてのAV機器は、コントロール・システムに接続された1台のタッチパネルから制御されます。すべてのプロジェクターと数十台のモニターは、ボタンを押すだけでON/OFFが可能です。すべてのスピーカーとそこへ供給されるコンテンツのコントロールももちろん可能で、コントロール・システムは映像と音声がしっかりと同期するように信号の遅延をマネジメントしています。

博物館の開発ディレクターであるKaisa Laitinen氏は、この結果に満足しています。「目を見張るような映像と力強い音の世界によって、博物館を訪れる人々の体験はかつてないほど素晴らしいものになりました」と彼女は話します。

「StudiotecとGranlundは、私たちのビジョンを実現するために素晴らしい仕事をしてくれました。最新のテクノロジーを駆使いただいたことで、来館者はアドレナリン、勝利、失望など、スポーツがもたらすあらゆる感情や感覚を共有することができます。そんな展示を私たちが成し遂げたことを非常に誇りに思いますし、皆様と共有できることにワクワクしています」