23 - The Ones

Genelec3The Ones2SAM™GLMExtended Linear Phase

「拡張された位相直線性」機能は、3ウェイ同軸設計のThe Onesシリーズを対象として、GLMのVer.4.1から新たに搭載された機能です。AutoCal 2 キャリブレーション・アルゴリズムから適用できるこの機能は、The Onesシリーズ使用時にGLMソフトウェア上から適用のON/OFFを切り替えることができます。

2ウェイと3ウェイの混在システムも可能に。 - The Onesで有効になる「拡張された位相直線性」とは?

▲「拡張された位相直線性」機能は、The Onesシリーズがシステム内にある際にGLM 4の「SAMグループ作成」の画面内にてON/OFFの切り替えが可能。デフォルトの設定は「ON」


「拡張された位相直線性」機能は、デフォルトの設定では「ON」となっていますが、これはユーザーの使用環境に合わせて「OFF」とすることも可能です。この機能を適用すると、スピーカー再生時の位相の直線性が拡張され、約100Hz付近まで低域周波数帯におけるグループ・ディレイ(群遅延)特性が向上します。

2ウェイと3ウェイの混在システムも可能に。 - The Onesで有効になる「拡張された位相直線性」とは?

2ウェイと3ウェイの混在システムも可能に。 - The Onesで有効になる「拡張された位相直線性」とは?

▲「拡張された位相直線性」機能による8341Aのグループ・ディレイ(群遅延)の変化。「ON」(写真下)では、グループ・ディレイの平坦な特性が約100Hz付近までシフトする

2ウェイと3ウェイの混在システムも可能に。 - The Onesで有効になる「拡張された位相直線性」とは?

▲2ウェイとなるSAMシリーズの8330Aのグループ・ディレイの変化。100Hz付近まで平坦な特性を持つ


The Ones

  • スピーカーから再生される音声信号において、同じタイミング(時間軸)で発する周波数帯域の範囲が広がるため、ステレオ再生時におけるステレオ音像と音の解像度が向上する。
  • 軸外の音響特性の向上と、短いリスニング距離で試聴するウルトラ・ニア・フィールド(UNF)モニタリングにおける音像の向上が期待できる。
  • スマート・アクティブ・2ウェイ・モニター(SAM™)シリーズのグループ・ディレイ特性にマッチングさせることができるため、3ウェイのThe Onesシリーズと2ウェイのSAMシリーズを併用し、再生システムを組み合わせることができる。そのため、スピーカーの選定およびシステム構築において、ユーザーの自由度が高まる。

上記の「拡張された位相直線性」機能の利点のうち、2ウェイのSAMシリーズとのシステム構築についてより詳しくご紹介します。

下図は、実際に3ウェイ同軸設計のThe Onesと同サイズの2ウェイのSAMモデルを用いて、サイン・スイープ信号を再生し、測定を行ったものです。音響測定は、指定の場所に一台のスピーカーを設置・測定し、順番に対象のスピーカーを入れ替えながら同条件の下で行っています。

リスニング・ポジションにおいて、両モデルのスピーカーを同時に試聴すると仮定し、各モデルで得た測定データを音響解析ソフトウェアにて合成することで、両モデルを組み合わせた際の音響的な変化を観測します。

サイン・スイープ信号を3ウェイのThe Onesモデルと2ウェイのSAMモデルを同時に再生し、「拡張された位相直線性」を「ON」(濃いオレンジの線)にした場合と、「OFF」(薄いオレンジの線)にした場合の音響特性グラフは、下図のようになります。
※画像内「03 Frequency」の欄を参照してください。

2ウェイと3ウェイの混在システムも可能に。 - The Onesで有効になる「拡張された位相直線性」とは?

▲「拡張された位相直線性」機能を「ON」にした場合(濃いオレンジ)と、「OFF」にした場合(薄いオレンジ)の特性を重ね合わせたグラフ。「OFF」では、およそ500Hz付近に生じていたディップが、「ON」とすることで改善している(使用スピーカーは、3ウェイのThe Ones 8341Aと2ウェイのSAMモデル 8330A


The Onesの「拡張された位相直線性」が「OFF」の場合、低域のグループ・ディレイの平坦な特性は約500Hz近辺まで維持されていることに対し、2ウェイのSAMモデルは、約100Hz近辺まで平坦なグループ・ディレイの特性を持ちます。音響特性グラフを合成した結果、「OFF」の場合は両モデルのグループ・ディレイ特性の違いによる音響特性の低下が確認できます(薄いオレンジ)。

一方、「拡張された位相直線性」が「ON」の場合、低域のグループ・ディレイの平坦な特性が約100Hz近辺まで拡張され、2ウェイのSAMモデルとグループ・ディレイの特性とマッチングすることができます。音響測定グラフの合成結果を見ると、「ON」の場合は音響特性の低下は確認できません(濃いオレンジ)。

このThe Onesの「拡張された位相直線性」の機能によって、ユーザーは3ウェイのThe Onesモデルと2ウェイのSAMモデルを組み合わせることも想定し、より自由なシステム構築を行うことが可能となります。



GLM 4.2

【システム要件】

Cloud AutoCal 2を使用する場合
Windows 10〜11(64bit)、mac OS 10.11 – 12.0.x(Intel CPU)、mac OS 11.0 - 12.0(Apple Sillicon CPU、要Rosetta)
Local AutoCalパッケージを使用する場合
Windows 10(64bit)、mac OS 10.11 – 12.0.x(Intel CPU)
ディスクスペース
2GB以上
インターネット接続
次の動作には、インターネットへの接続が必要です。

  • ソフトウェアのダウンロード
  • Cloud AutoCal 2を使用するキャリブレーション*
  • Local AutoCalパッケージを最初使用する際のマイク・キャリブレーション・ファイルの自動取得
* 「Cloud AutoCal 2」はクラウド上での実行となるため、キャリブレーション等を行う際にもインターネット接続が必須となります。インターネットに接続されていない環境にてGLMを使用する場合は、ダウンロード・ページより別途「Local AutoCal」をインストールしてご利用ください。

【使用可能なSAM™システム(生産完了モデル含む)】

82xxモニター
8240A、8250A、8260A
83xxモニター
8320A、8330A、8340A、8350A、8331A、8341A、8351A、8351B、8361A、W371A
84xxモニター
8430A
10xx & 12xxモニター
1032C、S360A、1237A、1238A、1238AC、1238CF、1238DF、1234A、1234AC、1235A、1236A
スマート・アクティブ・スピーカー
6040R
SEシステム
SE7261Aサブウーファーと併用した場合の8130A
72xxサブウーファー
7260A、7270A、7271A
73xxサブウーファー
7350A、7360A、7370A、7380A、7382A

※それぞれのモデルにより、対応する機能が異なります。
※GLMソフトウェアの使用には、GLM Kit (8300-601)およびSAM™ スタジオ・モニターが必要です。